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神秘的な褐色のゼリー状卵「ピータン」 |
未完成のため、暫定公開版(β版)です。
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昭和40年代に親父がはじめて中華街の土産として、ピータンを買ってきたときの驚きは、今でも忘れられません。殻をどのように剥いたのかは覚えていませんが、殻をむいていくと紫のような茶色の半透明の物質があり、強烈なにおいで鼻が曲がりそうでした。それでもめずらしいものに目がない我が家では、アンモニアガスの発散などせず、鼻をつまみながら食ったもんです。
そのピータンも作れるかもしれない。とりあえず、昨年作ったバケツ稲のもみ殻と、陶芸用の道具土(粘土)、キャンプのときに七輪にたまった灰を使い、チャレンジしてみることにしました。しかし、炭酸ナトリウムだけは入手できなかったので、炭酸水素ナトリウムを加熱して取り出すことにしました。うーん、化学の実験教室みたい。 (^_^;
ピータン 2個分の基本的な材料
新鮮な卵 2個 | 塩15g | 重曹(炭酸水素ナトリウム、重炭酸ナトリウム) 56g or 炭酸ナトリウム 35g | |
消石灰 10g | 粘土 300cc(500g) | 木の灰、もみ殻 それぞれカップ1/2 | 紅茶 2パック |
※参考情報 ・塩を手作りするレシピはこちら ・稲からもみ殻を作る方法はこちら おいっ、そこまでするかぁ! (^_^; |
Let’s start!
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作り方 | |
1 | 【炭酸ナトリウムの生成】
炭酸ナトリウムは、なかなか入手できないので、入手が容易な重曹(炭酸水素ナトリウム)を中火で10分ほど加熱して、炭酸ナトリウムを取り出します。 |
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2 | 【紅茶の煮出し】
紅茶のティーバックをカップ1の湯に入れ、煮出します。 |
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3 | 【材料の混ぜ合わせ】
粘土に塩と1で抽出した炭酸ナトリウム、消石灰、木の灰を混ぜます。 |
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4 | 【粘土をこねる】
耳たぶくらいのやわらかい粘土になるまで、紅茶の煮出し液を少量ずつ加えてこねます。 |
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5 | 粘土がこねあがった状態です。 | ![]() |
6 | 【粘土を伸ばす】
粘土を手のひらで厚さ1cmになるように伸ばします。(中国の皮蛋では厚さは数ミリです) |
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7 | 【卵を粘土で包む】
粘土が均等な厚みになるように注意しながら、卵を包み込みます。 |
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8 | 【もみ殻で覆う】
ポリ袋にもみ殻を入れ、卵がくっつきあわないように、もみ殻をまわりに付けます。 |
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9 | ポリ袋をもむようにすると、もみ殻がしっかりとつくようでした。 | ![]() |
10 | 【貯蔵】 この状態で20℃〜24℃程度の通気の良い場所で、35日〜40日を標準として、最大1年間程度貯蔵します。ガスが発生することがあるので、密閉はしません。 |
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11 | 【粘土のPH】 粘土を少量の水に溶かし、アルカリ度を測定してみたところ、PH10の強アルカリ性であることを確認できました。 |
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12 | 【できあがり】 | ![]() |
ここでの「コツ」
※1 【ピータン】
本来のピータンは、皮蛋と書き、アヒルの卵で作ります。かなり変わった卵の作り方ですが、これは昔、中国のある人が、かまどの近くにあった灰の中にアヒルの卵が埋まっているのを見つけ、食べてみたところ独特の風味があることに気づいたことを起源とするようです。
また、ピータンの漢字である「皮蛋」の「蛋」は、日本でいうところの「卵」を意味します。ちなみに、中国で「卵」と書くと、雌の生殖細胞や、昆虫などの変態の1つとしての卵→幼虫→さなぎ→成虫という過程の中の一段階を意味するとともに、男子の睾丸の俗語ともなっているらしい。※参考
中国食物事典(下表も)
表.各種皮蛋の補助材料
補助材料 | 北京皮蛋 (アヒルの卵) |
湖南皮蛋 (アヒルの卵) |
山東皮蛋 (アヒルの卵) |
生包鶏皮蛋 (鶏の卵) |
卵 | 1,000個 | 1,000個 | 1,000個 | 1,000個 |
水 | 62.0kg | 20.0kg | 50.0kg | 記述なし |
炭酸ナトリウム | 4.1kg | 1.1kg | 3.5kg | 1.9〜2.5kg |
生石灰 | 17.5kg | 3.8kg | 15.0kg | 15.0kg |
黄丹粉 | 0.18kg | 0.12kg | 記述なし | |
食塩 | 2.5kg | 1.6kg | 1.7kg | 0.25kg |
紅茶末 | 1.2kg | 0.4kg | 0.7kg | 0.3kg |
草木灰 | 3.1kg | 12.5kg | 0.7kg | 2.5〜3.3kg |
黄泥 | 0.6kg | 適量 | 記述なし | |
熟成期間 |
20℃〜24℃で35日〜40日間 |
6〜8日間 |
※ 黄丹粉 | 毒性がある一酸化鉛のため、輸出用には添加していません |
※ 草木灰 | 北京皮蛋では柏、湖南皮蛋では桑、山東皮蛋では松を使います |
※2 【もみ殻】
もみ殻は品質には関係なく、容器に詰めたときの粘着防止目的で使用します。
※3 【炭酸ナトリウムを取り出し】
炭酸ナトリウム(Na2CO3)を取り出すための重曹(炭酸水素ナトリウム(NaHCO3))は、薬局などで販売しており、500gで312円(税込み)でした。化学反応式は、
2NaHCO3+熱 → Na2CO3 + H2O + CO2 となりますので、
重曹(炭酸水素ナトリウム)56gから、炭酸ナトリウム35gを取り出せることになります。実際にやってみると1gの相違もなく、ばっちり計算したまんまの量を取り出すことができました。 w(゚o゚)w
この炭酸ナトリウムは、水に溶けたときに強アルカリを呈する物質ですので、刺激性があります。取り扱いには注意しましょう。
※4 【白身は凝固】
アルカリは、タンパク質のアミド結合を加水分解するため、アミノ酸のアミノ基(-NH2)から、アンモニア(NH3)が発生します。これが臭い。 (^_^;
でもなんで加水分解された白身が凝固するんでしょう?
※5 【食べ方はこちら】
水にしばらく浸けてから粘土を取り除き、ゆで卵の要領で卵の殻をむいて8等分程度に切り分けて食べます。切り分けてしばらくたつと、アンモニアや硫化水素などの強烈な臭いがとんで、食べやすくなるのです。これをサラダなどに入れてゆで卵同様に食べます。
また、絹ごし豆腐の上に刻んだピータンと、すりおろした生姜、刻んだねぎをのせて、醤油でいただくのもいいようです。
参考文献
・中国食物事典 田中靜一編著 洪光住監修 柴田書店
・家庭でつくるこだわり食品
1 農文協 定価1,250円(税込) ISBN4-540-89054-9
・豆彩さんの特集
皮蛋(ピータン)
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