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グーンと伸びろのびろ「油揚げ」

 これまでに何度も失敗を繰り返し、そのたびにあきらめてきた油揚げです。思ったように膨らまない。たとえ膨らんでもきつね色になって仕上がる直前に縮んでしまう。そんな失敗作を作るたびにせんべいのような油揚げを食べてきたわけですが、やっとできました!!

 失敗したときに共通しているパターンは、豆腐の中央部がなかなか膨らまないこと。中央部を膨らまそうとして、加熱を続けたり、高温にしたりするのですが、豆腐が固くなるばかりで、なにも改善しませんでした。これは豆腐に含まれている水分のせいだ! という仮定を立て、最大9kgまでの重石もしたのですが、力ずくで水分をとった油揚げもやはり失敗、、、。

 こんな試行錯誤を繰り返して、最大部の厚さで2cmの油揚げまで作ることができました。やっとのことでゲットした油揚げの作り方の仕組みを理解して、油揚げ作りにチャレーンジ…。 p(^^)q 


油揚げの基本的な材料

固いめの木綿豆腐 1丁 (絹豆腐ではうまく伸びません)
※参考情報
  ・豆腐を手作りするレシピはこちら

用意しておきたい器具

分厚いタオル サランラップ わりばし ピアノ線など細い針金 すのこなど水切り用器具
天ぷら用温度計(200度まで計測できるもの)

Let’s start!

作り方  
【豆腐カッターの用意】

 わりばしに豆腐の高さまで、定規代わりのマークを5mm間隔でいれます。

【豆腐のカッティング】

 わりばしを割り、ピアノ線などの細い針金を巻きます。豆腐の厚みが10mm〜15mmくらいに、なるように針金の位置を調整し、ピンとはった状態で割り箸を立て、素早くスライドさせて、豆腐を切ります。針金の位置を随時調整するか、切れた豆腐を取り除いて、豆腐を繰り返しスライスします。

【豆腐を分ける】

 切れた豆腐は、薄いため、手ではがすことが難しいものです。そこで、手のひらにのせて、ちょっと斜めにしばらく持っていると、豆腐が滑って写真のように分かれてきます

【水分をきる】

 はがした豆腐を、寿司用の簀の子などに挟み、上限で500gまでの重石をかけて2時間ほど脱水します。
 次に、たっぷりと水を吸うことのできる分厚いタオルでサンドイッチ状にはさみ、1時間以上かけてゆっくりと水分を吸収させます。水分を除けば除くほど、油揚げの成功率は高まります。

【揚げる】

 油揚げは低温の油で伸ばし、高温の油で縮みを防ぎます。
 まず、1度目は天ぷら油を130度〜140度の低温で6分ほど熱しますと、豆腐が周囲部分から膨らみ、徐々に中心に向かって膨らみが広がっていきます。正確な温度を把握するために、赤外線で温度を計測する精密機器も使ってみました。 o(^o^)o

【揚げあがり】

 全体が膨らんだら、次に油の温度を160度まで上昇させます。
 もしいつまで経っても中央部が膨らまないようであれば、項番4.の水分の吸い取りが足りなかったと考えられます。この場合はいくら加熱しても、豆腐の中に気泡が生まれず、カッチンコッチンのままです。つまり失敗作です。

【揚げた直後の状態】

 揚げた直後は、堅くなっていることが多いものです。

【ラップに包んで加熱】

 ラップに包んで電子レンジで加熱します。加熱時間はラップが膨らみ中から水蒸気が吹き出すまでです。
 こうすることで、水分が均一に回るので、固かった周囲もふんわりとやわらかくなり、ソフトな食感に変わります。

【ラップで包んで加熱後の状態】

 やわらかくなったのがわかりますでしょうか。

10 【ちょっと比較】

 高温で二度揚げする必要性を目で見てみましょう。
 130度で熱したときに、伸びきってからもそのまま続けると右の例のように縮んでしまいます。伸びきってから160度の高温にすると左のように伸びたまま固めることができます。

11

 切り口です。表面だけでなく、内部まで「スカスカ」になっています。
 ただしこの方法で成功する豆腐と、この方法でも膨らみにくい豆腐があります。これは、豆腐自体の作り方によります。

12 【できあがり】

 さぁて、できあがりです。どう料理して食べよっかなぁ〜 ( ^_^)/□☆□\(^_^ )  と思っていたら、家内が小松菜と煮物にしてくれました。うまい!!大満足です。

ここでの「こつ」

※1 【油揚げの作り方の仕組み
 薄くスライスした豆腐は、通常110度〜130度の低温の油で揚げてから、160度〜180度の高温の油で揚げるという2度揚げを行います。(豆腐業者によっては、さらに100度で余熱してから、前述の2度揚げを行うので、全部で3度揚げをしている場合もあるようです。)
 そこで次のような仮定を立てました。はじめに行う低温の油で揚げる工程では、薄い膜(豆腐の衣)を形成させ、内部に残っている水分を水蒸気化させることで豆腐の内部に水蒸気を蓄えて空間を作っており、次の高温の工程では、一旦ふくらんだものが再び縮むことのないように固めている、、、という仮定です。このように考えると油揚げが膨らむしくみも理解できます。この仮定により、つぎのようなことが見えてきます。

 油揚げ作りで、失敗につながる事象とは、…
第一に、  豆腐から水分が十分に抜けていない場合です。豆腐に水分が残っていると、せっかくの油の熱が気化熱に奪われ、豆腐があたたまらず、豆腐の内部から水蒸気が発生しにくくなります。つまり豆腐がふくらみにくくなるのです。(かといって、重すぎる重石は、豆腐の組織をつぶしてしまうので、ホドホドにネ!)
第二に、  豆腐が膨らまない時間が長く続くと、豆腐の外側の衣が固くなりはじめ、固くなった衣は、水蒸気を蓄えて風船状に膨らむことができなくなってしまいます。これは豆腐の衣の成分であるタンパク質がスポンジ状に熱変性してしまうことにより、スポンジ状の隙間から水蒸気が逃げてしまうことに起因します。
第三に、  タンパク質が熱変性するために、さらに収縮という問題も発生します。失敗した油揚げは、もとの豆腐よりも一回り小さくなってしまうことが少なくありません。これは豆腐のタンパク質が、肉を焼いたときのように、焼き縮みしていると考えられます。
 
 これらについて、作り方のポイントとしてまとめると次のようになります。
1. 油揚げは、十分に水分を吸い取ることが大切。またこの水分の吸い取りの過程で、豆腐を強く圧縮してしまうと、豆腐の組織がつぶれてしまい、再び膨らむことができなくなってしまいます。
2. 豆腐の内部の水分を一気に水蒸気に変化させ、その水蒸気によって豆腐を膨らませることが大切。そのためには2つの条件がそろう必要があります。

・まず、豆腐そのものが、伸びやすい方法で作られた豆腐(後述)であること。
・次に、豆腐のタンパク質がスポンジ状に熱変性していないこと。
・最後に、水蒸気をすぐに発生させることです。130度前後の低温の油に浸すことにより、豆腐内部からの水蒸気の発生を促すのです。次に油の温度を
160度に高めることで、豆腐のタンパク質の焼き縮みがでないように衣を固めてしまうわけです。

3. 見慣れた茶色の油揚げにするには、古い油を使います。新しい油だと茶色に着色する前に、豆腐が煎餅のように固くなってしまいます。

※2 固いめの木綿豆腐】【豆腐自体の作り方
 固い木綿豆腐であれば、どんなものでもいいかというと、そういうものでもないようです。油揚げに適した木綿豆腐は、豆乳は薄めにつくり、固く仕上げるのです。
 通常豆腐は1kgの大豆から5リットルの豆乳を作り、にがりで固めますが、油揚げ用の豆腐は1kgの大豆から10〜15リットルの薄い濃度の豆乳を作るそうです。この油揚げ用の豆腐だと、食感の固い豆腐になるようです。

※3 【素早くスライドさせて、豆腐を切ります
 慣性の法則を利用して、豆腐がじっとしている間に、サッと針金を動かし、カットします。とってもきれいに切れますし、なんといっても厚みが均一に切れるのがうれしいです。

※4 【ゆっくりと水分を吸収させます
 
重石を使う場合は、500g程度を上限にします
 タオルは、頻繁にくるみ直します。これにより、水分を吸い取った部分を乾燥した部分に巻き代えるようにします。
油揚げを作る上で最も重要な工程ですので、決してここで手を抜かないようにします。
 
重石で強く圧縮すれば水はたくさんとることができますが、限度を超えて重くしても膨らみが増えるわけではありません。最初1kgの重石をして、徐々に9kgまで増やすことで豆腐をつぶさずに脱水そのものは成功したように見えましたが、決して膨らみませんでした。豆腐の組織までつぶしてしまったようでした。

※5 【低温時間が長かったもの(右)は明らかに縮んでいます
 油揚げ作りには、※1に説明したように、いくつかのポイントがあります。このポイントがつかめなかったために、このレシピを作り上げるまでに20回ほどせんべいのような油揚げを作ってしまいました。  (^_^;)

参考
 ・ゲストの高野さんのアイデアで、「ラップに包み、電子レンジで暖める」方法を盛り込みました。これでよりソフトな食感に仕上げることができるようになりました。 高野さん、ありがとうございます。


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