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アルミ缶から手作りするアルコールストーブ「ベーシックモデル」

 日本国内で一般的に飲まれている350mlアルミ缶を使って自作するアルコールストーブです。

 アルミ缶から作るアルコールストーブとしても最も一般的なタイプとなっており、海外の方が紹介している動画でも、ほとんどがこのタイプです。
(本サイトの項番13【内側パーツの製作】 では、135mlの小さなアルミ缶を用いることでつなぎ目を無くし、気密性を高めていますが、一般には、単なる長方形の帯を巻いたモノを使うことが多く、ホッチキスで閉じたり、耐熱性のあるボンドでつないでいるようです。)

 五徳を持ち歩かなくとも使用できる点がこのストーブの最大のメリットです。燃料のアルコールを100mlとこのアルコールストーブを鞄に入れておけば、カップラーメンやコーヒー程度ならスマートに用意できてしまう。アルコール燃料を運搬するボトルの重量を加味しても、たったの125g。スゴイ!


用意する材料

 項番 説明 用意するモノ 
 1  350ml アルミ缶2缶  
   135ml アルミ缶1缶
(直径が135mlアルミ缶と同じサイズのものはたくさんあり、
どれでも利用可能です)

 

 

Let’s Go!

説明 画像
製作目標のアルコールストーブ

 一般的に手作りされており、最もインターネット上に発表されているアルコールストーブです。
 バーナーの炎は、外炎式となっており、外側に炎が吹き出すタイプです。その形状から、本燃焼後であれば、鍋を直接アルミ缶の開口部(バスタブ面)に置くことができます。
 五徳が無くとも使用できることが最大の特徴で、特殊な細工技能を要さないこともメリットとなります。
 【第1世代で必要となる材料】

 アルミニウム製の350mlのビール缶を2缶と、135ml缶を1缶用意します。

 350ml缶の2缶は、アルコール容器となる下パーツ、覆い被さる上パーツとなり、
 135ml缶は、内面で壁を形成する内側パーツ となります。
 【ビール缶の「中心」をマーク】

 まず、覆い被さる上パーツを作ります。

 アルミ缶の底に対し、厚みのある電話帳やかまぼこ板などを用意し、サインペンの先が、アルミ缶のほぼ中心にくるようにします。
 順にアルミ缶を90度ずつ回転させ、サインペンで平行線を4回描き、「井の字」を描くわけです。
 ここで描いた「井の字」の中心が、アルミ缶の中心となります。
【円形にカット】

 先に求めたアルミ缶の中心点を使い、直径38mm?40mmの円形にカットします。
 工具の紹介ページでおすすめしている「OLFA コンパスカッター57B」を使えばきれいな円形にカットできますが、普通のカッターで切れないわけではありません。いずれにしても、地道にキズをつけながら、100回転程度させる根気をもって作業します。
【こじ開け】

 カッターでキズをつけながら100回転程度を終えるころ、部分的に「貫通穴」が現れ始めます。これが3箇所以上になる頃には、全周に渡って、均一なキズがついています。そこで、この「貫通穴」の内側ギリギリの部分に力をかけ、アルミ缶を裂いていきます。変形するようで無理っぽければ、さらにキズをつけます。
【切り裂き部の仕上げ】

 開口部となる切り裂き部をやすりで仕上げます。
 ここでは、粗仕上げのやすりと、細かい仕上げ用のやすり、そして、滑らかな丸い金属棒を使って最終研磨をしています。
【仕上げの確認】

 きちんと研磨をしておくと、完成したときの満足感が大きくなります! 
 研磨前は怪我しそうなほど鋭利だった切り裂き部も、研磨によってつるっつる!!
【バーナーの穴をマーキング】

 炎が噴き出るバーナー部をサインペンなどでマーキングします。マークする箇所は、印刷されていない面で、印刷面から2〜3mm程度内側を目安にします。
 上下左右に4箇所のマークをした後、各中間点をマーク(合計8箇所)、さらにその各中間点をマーク(最終合計16箇所
【バーナーの穴を貫通】

  「プロクソン ドリル10種セット No.28913」を使い、セットに含まれている1.2mmの極小ドリルで穴を貫通させます。
 貫通させた後は、マーキングしたサインペンの跡を、アルコールなどで拭き取っておきましょう。
 燃焼させた後では、焼き焦げによるためか、拭き取りづらくなります。
10 【上パーツの切り離し】

 電話帳やかまぼこ板などで高さを30mmにセットし、カッターの刃をアルミ缶に押し付けキズを付けます。
 これも100回転ほどするころには、部分的に「貫通穴」が現れ始めます。
11 【裂け目の拡大】

 「貫通穴」が3箇所以上になる頃には、全周に渡って、均一なキズがついています。そこで、この「貫通穴」の真下ギリギリの部分をちょこんと押します。アルミ缶は大した力をかけなくとも、サクサクと裂けていきます。せっかく作った上パーツ部分が変形するようであれば、さらにキズをつけます。
12 【下パーツの切り離し】

 上記と同様の手順で、高さだけを変更して下パーツを作ります。
 高さは、電話帳やかまぼこ板などで27mmにセットして、カッターの刃をアルミ缶に押し付けキズを付け、100回転ほどする頃に現れる「貫通穴」をきっかけにして切り離します。
13 【内側パーツの製作】

 135ml缶を使い、内面で壁を形成する内側パーツを作ります。
 まず、缶の上部を全周に渡って、粗目のやすりで強く削ります。削っていくと、いきなりパカッと飲み口部分が落ち込んで外れます。
 手で引っ張って外れるような取っても構いません。接着剤のようなものがネバーッと出たりします。
14 【内側パーツの切り離し】

 上パーツ、下パーツと同じ要領で、缶を倒立させ、内側パーツを高さ37mmでカットします。
15 【襞】

 内側パーツと下パーツの密着性を上げるために、内側パーツの下部4mm〜5mm深さにハサミを入れて襞をつくるための切込みを入れます。切込み数は、32程度が密着性が高いようです。
16 【切込み直後の状態】

 はさみを入れると、若干ですが、襞に傾きがつくのですが、見てとれますでしょうか。
17 【折り曲げ】

 先ほど確認した傾きを維持しつつ、襞の部分を45度程度、内側に折り曲げます。
 傾きを維持しながら折り曲げると重なりがでます。その重なりがきれいに並ぶと文様のように連なります。
18 【アルミの帯の切り出し】

 上パーツや下パーツを切り離した、残りのアルミ缶の1つを使い、はさみで縦に「ほぼ切り分け」ます。
(最後の部分は堅いので、完全に切り分けなくて結構です)
 次に、横方向にはさみを入れ、20mm程度の帯を3枚ほど切り出します。
19 【用意したパーツ類】

 手前左から上パーツ、内側パーツ、下パーツ
 奥に3枚の帯パーツ
20 【重ね合わせの下準備】

 下パーツの上に上パーツを重ねますが、現状では同一直径のために、このまま重ねることは困難です。
 そこで、下パーツをラジオペンチなどで、僅かずつ内側へ織り込むクセをつけます。織り込むクセは、上部から15mmくらいまでとします。
21 【重ね合わせ】

 下パーツの中に内側パーツを入れ、その隙間に3枚の帯パーツを重ね入れます。
22 【上パーツの覆い被せ】

 内側に織り込んだ下パーツに覆い被せるようにして、上パーツを重ね合わせます。
 内側パーツに密着すると、上パーツがそれ以上差し込めなくなりますので、きっちり下まで均等に押し込みます。
23 【バリのスムージング】
 本体をひっくり返し、バリが出ていないか確認します。バリがあれば金属棒や板の棒でも良いので、擦り付けて、スムージングしておき、怪我しないようにします。
24 【燃焼試験】

 アルコールを10ml程度入れて、試験燃焼してみましょう。
 この第1世代だと、写真のような本燃焼まで1分程度で移行します。
25 【バリエーション】

 さて、今回はベーシックなアルコールストーブを作りました。(全体通算66個目)
 続いて、本燃焼まで格段に早くなった第2世代以降も作ってみましょう!!
     

ここでの「こつ」

※1 製作目標のアルコールストーブ
  一方 短所は、
  1. バスタブ内でメラメラと燃える時間が長く、本燃焼と呼ばれるバーナー部分からの燃焼に移るまで時間がかかること
  2. 燃焼の炎の調節ができないことで、常に最大火力での燃焼となるため、コーヒーやカップ麺等のお湯沸かしには使えますが、中火や弱火を要する炊飯には不向きで、また一般的な調理に使う場合であっても燃費の悪さを無視できない点があげられます。

 前者の本燃焼までの時間については、第2世代(最も早い)、第3世代(そこそこ)、第4世代(そこそこ)では解決されており、
 後者の燃焼の炎の調節については、第4世代で解決しています。

 第2世代では、本燃焼までの時間を短縮化できるものの、比較的高価な、モンスターエナジー缶を2缶とレッドブル缶を1缶使用しており、これらだけでも 約600円強 程度の材料コストがかかってしまいます。
 第3世代第4世代では、モンスターエナジー缶は1缶で良く、さらに、あり合わせの小さな口径の缶が1缶揃えれば製作でき、合計 約300円 程度となりますので、材料費としては、第2世代の約半額となっています。

※2 【第1世代で必要となる材料
 前者はどんなビール缶もほぼ同様のサイズであることは確認済みですが、若干のばらつきもあるかもしれませんので、できれば、同じ銘柄のものが好ましいです。
 後者としては、ジュース類にもアルミニウム製でほぼ同サイズのものがありますので、使えないこともありませんが、できれば、135mlのアサヒスーパードライや、キリン一番搾り、淡麗生、サッポロ黒ビールが加工性が良かったように感じます。

 コスト的には、第三のビールを使うとしても約300円弱となりますが、毎日飲むビール缶ですので、まぁ、アルコールストーブ作りとしてのランニングコストとしてはゼロ円だな、という苦しい計算(言い訳?)をしています。

※3 【織り込むクセは、上部から15mmくらいまで
 第2世代、第3世代では、構造上この折込工程はありませんが、第4世代では同様の折込工程が復活します。しかし、缶の特性からせいぜい3mm止まりとなります。



--------- 目次 ---------

1. アルコールストーブのタイプ バリエーション
2. 当サイトで製作するアルコールストーブをばっさり比較
2-1. 五徳は不要
2-2. 本燃焼までの早さ
2-3. 火力調整が可能
2-4. 燃費の良い内炎式
2-5. 炎の形が際立っている
2-6. 材料調達コスト
2-7. アルコールの回収性
2-8. 絵柄が倒立していない
2-9. 尖った部分がないこと
3. アルコールストーブの作り方
3-1. 第1世代 ベーシックモデル 
3-2. 第2世代 毛細管現象を活用した高火力モデル )TETKの徒然なるまま
3-3. 第3世代 オリジナル1 「製作コスト削減モデル」
3-4. 第4世代 オリジナル2 「火力調整モデル(お勧め)」
4. 五徳の作り方
5. 第4世代用 火力調整金具の作り方
6. アルコールストーブ四方山話
6-1. カッティングのカッターの刃の進行方向
6-2. 内側パーツ(中込パーツ、隔壁パーツ)
6-3. 風防の検討、輻射熱の検討
6-4. 鍋敷き
6-5. アルコールストーブ本体、コッヘル、風防のスタッキング
6-6. アルコール運搬用ボトル
6-7. 着火具
7. さぁ、アルコールストーブを使ってクッキングしよう!
7-1. お湯を沸かして、カップヌードルタイム、コーヒータイム
7-2. さぁ、おなかが減ったぞ 炊飯だ!


 
 

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