甘納豆は、ゆであげるまでに金時豆が吸っていた水分を、じっくりと時間をかけて蜜を介して吸い出し、その蜜を煮詰めることを2回繰り返し、計3回の蜜漬けを行いながら脱水します。
砂糖を煮詰める度合いの見極めは、決して簡単なものではありませんが、蜜を煮たてるときに、最初から最後まで、通しでじっくりと見つめていると、泡の様子が変わるのが確認できます。もし、泡の様子を見極める自信がない場合は、湯煎を使えばちょっと時間がかかるものの、お湯は100度を超えることがないので失敗することはありません。 では、昔ながらの甘納豆を手作りしてみましょう!
出来上がり分量 約250gの基本的な材料
Let’s start!
金時豆を洗います。
冬場以外は、冷蔵庫などに入れ腐敗を防止しましょう。
たっぷりの水を用意し、強火で加熱します。沸騰後4〜5分間茹でます。
再び、新しい水を鍋に加え、強火で加熱します。沸騰後4〜5分間茹でます。
3回目は長時間ゆでるので、豆が鍋底に接触していると煮踊りしてしまい、煮くずれてしまいがちです。そこで、豆はざるに入れ、ざるといっしょに豆を煮ることで、豆が鍋底で煮踊りしないようにします。
豆がやわらかくなっていないようであれば、適宜延長します。
このざるに上げた状態で、30分間冷ましつつ、余分な水分が残らないように十分に水分を切っておきます。
砂糖の半量を加えます。
くれぐれもかき混ぜることで、豆をつぶしてしまわないように…。
ボウルに受けた蜜を煮詰めます。
煮詰めていると、水溶液状だった蜜が、次第に粘性を帯びてきて、泡の様子が変わってきます。後の工程を考えると、できるだけ水分は飛ばしきっておきたいところですが、度を過ぎるとフォンダンを通り越し、べっこう飴にたどり着いてしまうため、透明だった砂糖がうっすらと茶色になってしまいかねません。よって、頃合いを見計らって完了とします。
ぬれ布巾を何度か交換すると、早く冷ますことが出来ます。
煮詰めた蜜に、豆を戻します。
この状態で一昼夜おきます。ここで時間を短縮するなど手抜きは厳禁です。随時、スプーンなどを使って鍋の底から丁寧に糖分を行き渡らせます。
焦げ付かせないための工夫を考えてみました。項番22の工程で加熱する際は、蜜に水分が減ってくると、砂糖が白っぽく結晶化するフォンダンを通り越すと、茶色く色づくカラメルソースになってしまいかねません。 そこで、 1.湯煎にする ⇒ 時間はかかりますが、失敗することなく、確実に甘納豆を作ることができます。 2.写真のような鉄板を一枚挟むことで、鍋を間接的に加熱する ⇒時間を短縮できますが、失敗の恐れがあります。 以上のような対策が必要になります。どんな方法でも構いませんが、いずれにせよ炎が直接鍋にあたらないようにします。
極弱火の炎はいったん鉄のプレートにあたり、そのあと、遠赤外線となって、焼き網2枚を挟んで鍋に届くようになっています。
砂糖蜜をボウルに受けられるようにして、豆をざるに開けます。
煮詰めた蜜に豆を戻し、30分置きます。写真の蜜は白っぽく結晶化(フォンダン化)しています。
豆をざるに上げ、余分な蜜を切ります。
サラサラのグラニュー糖を加えますが、すでに表面が乾燥している場合は、グラニュー糖を加える必要はありません。
甘納豆の完成です。丁寧に水分を除いているので、時間が経っても水分が染み出してくることもありません。
ここでの「こつ」
※1 【大きく膨らんでいる】 ゆであがり後に計量した重量は、洗う前は100gだったものが、225gになっていました。
※2 【やわらかくなっていないようであれば、適宜延長】 甘納豆になったできあがりとしては、やわらかい豆の方が食感がいいのですが、やわらかすぎると、砂糖と混ぜる工程でへしゃげるものが増えます。自宅で食べるのですから、見栄えよりも食感重視ということで、お勧めは柔らかめです。
※3 【透明だった砂糖がうっすらと茶色】 砂糖は加熱中の温度によって下表のように状態が変化します。今回のあめ作りでは、項番3.になるまえの約130度です。糖が焦げる温度まで近づくと、徐々に茶色に色づきはじめ、下表のようになります。
※4 【手抜きは厳禁】 最終的にグラニュー糖と混ぜ合わせたときに、豆の内部から水分が染み出してきて、乾いた状態の甘納豆を維持できなくなります。また冬場以外は、冷蔵庫などに入れ腐敗を防止しましょう。
※5 【白っぽく結晶化(フォンダン化)】 白っぽくなっていない場合は、大さじ1程度の砂糖を加えると、その砂糖の粒を核にして、一気に白っぽくなる場合があります。この段階で水っぽいと失敗しますので、しっかりと水分を蒸発させておきます。
参考文献 1.安全な食べものネットワーク さんの 昔ながらお菓子屋の多い町 小樽の近藤製菓の甘納豆 2.カリフォルニアのばあさんブログ さんの 甘納豆