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カカオ豆から作る「チョコレート」

 バレンタインデーの手作りお菓子として、女性に人気のあるチョコレートを、無謀にもカカオ豆から作ってみました。とはいえ日本では、カカオ豆を入手することは、通常不可能に近い状態ですので、このレシピが役に立つことはまず皆無!? (^_^;)
 まぁ、チョコレートの作り方として、知識ベースの理解には役立つかな、、、ということでガンバッてみました。

 チョコレートの作り方としては、あまたに料理レシピ本がでていますが、どれも市販のチョコレートを使うか、それともカカオ豆をミクロン単位まですりつぶしたカカオマスを使うことを前提にしています。
 そのような中で、幼児向けの本に、カカオ豆がどういった地域で収穫でき、発酵、乾燥、日本への輸入、微粒子化、調味が行われるかといった様々な工程をわかりやすく書いているものをみつけました。
 また、その編集者の方の協力を得て、今回は、このページを製作することができました。ご協力いただいた方々に感謝いたします。


チョコレート約320g分の基本的な材料

カカオ豆 150g(皮を除いた正味120g もしくは、カカオマス 120g)
カカオバター 60g あらかじめ室温に戻しておきます 粉砂糖 80g 粉ミルク 70g
※参考情報
  ・砂糖を手作りするレシピはこちら

Let’s start!

作り方  
【材料の用意】

 カカオ豆をゲットします。
 現在日本国内で、個人がカカオ豆を入手することは、ほぼ不可能に近い状態です。チョコレートメーカさんを見学したときにお願いしたり、植物園に問い合わせて、お願いするなどして、ゲットォ!するか、カカオマスの状態で売られているものを、菓子材料専門店などで購入し、項番14の調温/テンパリングから実施します。

【焙炒/ロースト】

 幸運にもカカオ豆をゲットできた場合は、120度で20分ほどかけて焙煎します。コーヒーが焙煎のしかたで味が変わるように、チョコレートもこの焙煎の深さが直接味に影響します。
 今回はオーブンを120度に設定して、しっかりと余熱をした後、20分間加熱してみました。

【分離/セパレーティング】

 カカオ豆を砕き、皮と胚芽を除いてカカオニブ(胚乳部分)を取り分けます。
 工業生産工程では、このあとに配合(ブレンド)して、製品の味を調えます。

 皮を除いた状態です。(胚芽は取り除けるモノだけ除きました)
【磨砕/グラインダー】

 フードプロセッサーを使い、カカオ豆をある程度粉砕し、ペースト状のカカオマスと呼ばれる状態にします。

 粉砕しはじめの状態です。
 1分くらい粉砕を続けていると、豆が細かくなってきます。
 カカオ豆には45%〜55%程度のカカオバターが含まれているので、ピーナッツバターのように油がにじみ出てきます。このままフードプロセッサーを使い続けると、負荷が高すぎて、モーターが焼き付いてしまうので、この程度ですり鉢に切り替えます。
 すり鉢に入れて、細かくすりつぶしていきます
10  カカオバター(ココアバターとも言う)は、包丁で細かく刻んでおきます。
11 【混合/ミキシング】

 カカオマス、カカオバター、粉砂糖、粉ミルクを加え、すり続けます。カカオバターが固まるようであれば、湯煎にして、チョコレートの温度が45度〜50度になるように温度管理をしながら、すります。

12 【微粒化/レファイニング】

 適宜味見をして、舌でなめらかさを確かめます。納得できるなめらかさになったら、目の細かいざるで、すりつぶすようにしながら、漉していきます。

13 【精錬/コンチング】

 微粒化したものを湯煎にして、チョコレートの温度が45度〜50度になるように温度管理をしながら、さらに練り続けます。工業製品的には、約3日〜5日間も練り続けるのですが、手作りを学ぶことを目的とする今回の場合は、1時間程度で十分でしょう。

14 調温/テンパリング

 湯煎でチョコレートを45度に保ちながら練ることで、組織を安定化させます。
 水が混入しないように細心の注意を払いましょう

15  チョコレートを温度調整のしやすいステンレス製のボールに移し替えて冷水に浸し、チョコレート生地を一端27度(ミルクの入らないスウィートチョコの場合は、27〜29度)まで下げます。
16

 再びチョコレートを湯煎で温め、30度(ミルクの入らないスウィートチョコの場合は、31〜32度)にします。

17 【充填/デポジタリング、冷却】

 好みの型に流し込んで、 冷蔵庫で冷やし、チョコレートを固めます。

18 【型抜/デモールダリング】

 チョコレートが固まったら型から抜いて、できあがりです。
 工業製品では、チョコレートの組織を安定化させるために、温度が一定に保たれた倉庫で3〜4週間置き、熟成させます。
 ちょっとなめらかさに欠けるものの、手作りの範疇で、ここまでできれば満足のいく出来映えでした。

ここでの「こつ」

※1 【カカオ豆
 
収穫したカカオ豆は、現地でバナナの葉でくるみ、3日〜4日ほど発酵させています。発酵済みの時点で30%ほどの水分を含みますので、これを天日乾燥させ、8%以下の水分量にしています。このため、日本に輸入されたカカオ豆は、焙炒の工程からはじめることができます。

※2 カカオマス
 カカオ豆には、カカオ分とカカオバターが含まれています。カカオマスを購入するときに、わざわざカカオ分の含有量の高いものを選ばれている方もおられますが、カカオマスは、本来カカオ分だけでなく、カカオバターが約45%〜55%含まれているというのが自然な割合なのです。カカオバターは、カカオマスにとって邪魔な添加物どころか、わざわざ追加するほどのものです。

※3 粉ミルク
 日本では、粉ミルクといえば、脱脂粉乳のことをさします。高級なチョコレートには、全粉乳の文字があったりしますが、日本では全粉乳の入手は困難だそうです。

※4 カカオマスと呼ばれる状態
 日本で入手できるものは、カカオマスとは言え、実際にはコンチング済みのものです。中には、カカオバターや砂糖、ミルク、その他香料などを添加済みのものもあります。

※5 【細かくすりつぶしていきます
 一度この工程で区切り、翌日の朝に再開しようとしたのですが、ガッチンゴッチンに固まっていました。もし固まった場合は、次の工程で紹介しているように、チョコレートを湯煎であたためると、やわらかくなります。ご心配なく…。

※6 【カカオバター
 ココアバターとも言います。
 カカオ豆をペースト状にしたものがカカオマスですが、このカカオマスを絞りとった油脂成分がカカオバターです。ちなみに絞ったカスに相当するものがココアとなります。
 カカオマスには大量のポリフェノールを含みます。ポリフェノールは活性酸素を抑え、がんや動脈硬化を予防することができると言われているものです。
 大手スーパーやデパートの製菓材料売場、関東であれば、合羽橋や東急ハンズ、LOFTなどで購入できます。LOFTの場合のように、手作り化粧品コーナーに置いている場合もあります。今回のカカオバターは千葉市のフードカルチャー おおくら で購入しました。

※7 【目の細かいざるで、すりつぶす
 
工業的には、舌が感じる限界の25〜12ミクロンまで微細化することによって、なめらかにしつつ、砂糖がすみやかに溶けるようにしています。

※8 【水が混入しないように細心の注意を払いましょう
 チョコレートに水が入ると、砂糖成分が溶け、キャラメル状になってしまうため、ぼそぼそになってしまいます。

※9 【調温/テンパリング
 チョコレートは油脂であるカカオバターが結晶したモノです。このカカオバターの結晶にはT型〜X型までの5種類の型があります。市販されているチョコレートはX型の結晶になっていますが、一端溶けたりしたときに味が悪くなった経験はほとんどの方があるのではないでしょうか。白く花が咲いたように見えることから、これをブルーミング現象(後述のシュガーブルームと区別するために、特にオイルブルームもしくはファットブルーム)といいます
 この状態になったチョコレートはW型です。テンパリングはこのW型を増やさずにX型の結晶を作る工程なのです。テンパリングでは、一端27度に下げてW型にしてから、再び温度を30度に上げることでX型の結晶を作ります。(スウィートチョコレートの場合は、27度〜29度まで下げ、31〜32度に上げます。)このX型の結晶が核となって、以降X型の結晶が増えていくのです。
 市販のチョコレートでは、ブルーミングをさけるため、一端溶けたチョコレートでも、品質を劣化させない対策が施されたモノがあり、いきなり27度をキープするだけで、テンパリングを完了できるものがあります。

 ブルーミング現象には、この油脂の劣化の他に、糖分が原因となるシュガーブルームがあります。シュガーブルームは、冷蔵庫などで冷やしていたチョコレートを急激に室温にだした場合に発生します。冷えたチョコレートの表面に発生する「結露水」がシュガーブルームの原因となるのです。この結露した水にチョコレートに含まれる糖分が溶けて固まります。

 こういったブルーミング現象を防ぐには次のような対策が必要です。

 ○ オイルブルーム/ファットブルーム対策 →カカオバターの一部が溶け始める16度以下で保存する
 ○ シュガーブルーム対策→水分の混入を避け、また結露を避けるために急激な温度変化を避ける

 また一端ブルーミングがでたチョコレートでも、テンパリングを最初(45〜50度に温め直す工程)からやり直すことで、復活が可能です。現にこのレシピを作る上で、はじめはオイルブルームがばっちりでたチョコレートを作ってしまいましたので、テンパリングをやり直すことで、写真のような比較的マシなチョコレートに仕上げています。(決して、完全とはいえませんが、まぁまぁきれいなチョコレートになりました)

※10 【冷蔵庫で冷やし
 冷凍庫などに入れると、変質してしまうので、ゆっくりと時間をかけることが大切です。

※11 【できあがり
 カカオ豆から作ったチョコの味はそれなりでした。やっぱりなめらかさが足りません。とは言っても、チョコレートの作り方を理解するという目的は十分に達成できました。あと、タバスコを作った直後のすり鉢を使ったのですが、すり鉢から唐辛子成分がしみ出ており、辛っらいチョコレートになりました。びっくり。 ヽ(^。^)丿


チョコレートづくりの見学ができるチョコレート工場
 ・大東カカオ株式会社
   中井工場 郵便番号 〒259-015 神奈川県足柄郡中井町井ノ口2753
 ・明治製菓
   関東工場(坂戸工場) 〒350-0289 埼玉県坂戸市千代田5-3-1 TEL:0492-83-1311
   東海工場 〒426-0033 静岡県藤枝市小石川町4-22-1 TEL:054-641-0900
   大阪工場 〒569-1134 大阪府高槻市朝日町1-10 TEL:072-685-5011

参考文献
 ・サンチャイルド ビッグサイエンス2004年2月号チョコレートだいすき 税込定価410円
 ・化学の質問ありませんかさんのチョコレートのテンパリング(温度調節)について

謝辞
 ・上記参考文献のサンチャイルド ビッグサイエンス担当の竹久さまには、チョコレート作りの動機づくりにはじまり、カカオ豆の入手方法、カカオバターの入手にからむ切り口の見いだし方など、たいへんお世話になりました。この場を借りまして、御礼申し上げます。


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