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もう失敗しません「カルメ焼き」

 何度も失敗を重ねたカルメ焼きです。高梨賢英氏の著書 『砂糖と塩の実験』 にわかりやすくポイントがまとめてあり、参考にしてつくってみました。それでも、やっぱり失敗。原因は、どうしてもお玉を使ってカルメ焼きを作りたかったので、高梨氏が提案している紙コップを使う方法を採用しなかったことかもしれません。

 そこで、再度試行錯誤の繰り返し…。成功したときと、失敗したときの違いは、重曹卵を混ぜ終わるタイミングにあるようでした。


カルメ焼きを作る基本的な材料

 重曹卵の材料 (カルメ焼き5〜6個分)  卵の白身 2g 重曹 6g 砂糖 1g
 カルメ焼き本体の材料  グラニュー糖もしくは上白糖 40g 水 15cc  
※参考情報
  ・砂糖を手作りするレシピはこちら

用意しておきたい器具

 大きめのお玉 200度まで計測できる温度計 乾いた布巾 濡れ布巾 

Let’s start!

作り方  
【重曹卵の準備】

 卵1個分の卵白は、約17gになります。今回は卵白を2gしか使わないので、卵1個に含まれる卵白の約8分の1の量未満(約小さじ1/2)になります。※もっと少なくてもいいかも…
 この卵白に重曹を混ぜ、1〜2分間、ぐりぐりと混ぜ合わせます。

 ふわっとしたシャーベット状になったら、砂糖を加えます。
 卵白を多く入れすぎている場合には、シャーベット状になるまで、重曹を加えておきます。またここで加える砂糖はカルメ焼きが固まるときに結晶化させるための、結晶核となります。この卵白と重曹と砂糖を混ぜ合わせたものを以下では重曹卵と呼びます。
【加熱】

 砂糖40gに水15ccを加え、中火にかけます。中火にかける時には、ガスコンロの火の円周部がお玉の中心部を通るようにすると、焦げ付きが抑えられるようです。加熱中は、温度にばらつきがでないように、しっかりと混ぜ合わせます。

【重曹卵投入のタイミング】

 100度を超えた砂糖水の温度は、110度まではゆっくりと上昇しますが、110度を超えると上昇速度が早くなります。115度を超えたら火は弱火にして、125度〜130度になったら、火からおろし、乾いた布巾の上に置きます。

【重曹卵の混ぜ方】

 このまま砂糖水からでる泡がなくなり、浮いている泡も小さくなるまで20秒〜30秒ほど待ちます。浮いている泡が小さくなったら、大豆ほどの大きさの重曹卵を割りばしの先に付けて加え、一気にその割りばしでぐいぐいと、思いっきり混ぜ合わせます

【カルメ焼きが膨らむ様子】

 20秒〜30秒ほど混ぜていると、重曹からでてきた二酸化炭素で急激にモコモコと膨らみかけますが、割りばしで混ぜているトレース(軌跡)がでて、お玉の底が見えるまで休まずに混ぜ合わせます。お玉の底が見えてきたら、割りばしをそっと抜き、そのまま観察することにしましょう。10秒ほどで、グググッと盛り上がりはじめ、あちこちに亀裂ができてきます。まるで溶岩が内部から溶けだしてきそうです。

【冷却】

 盛り上がり初めて10秒ほどしたらほぼ最終型に近い良い形に盛り上がっているはずですので、冷たい水をたっぷりとしみ込ませた濡れ布巾の上に、お玉を置き換え、急冷することで固めます。

【お玉からの取り外し】

 カルメ焼きの中まで十分に冷えるまで数分間待った後、再度弱火にかけ、カルメ焼きをお玉からツルッとすべり出させます。あまり強い火にかけると、お玉の中でカルメ焼きが焦げてしまいます。 (^_^;)

【できあがり】

 カルメ焼きをお皿に取りだして、できあがりです。

10 【割ってみました】

 中を割ってみると、気泡がたくさんつまっていました。お玉からだすときの加熱で、ちょっと底が焦げちゃってますが… (^_^;)  体積は約200ccになっていましたので、膨張率は15倍〜20倍というところでしょうか。うまく作るともっと膨らみそうです。失敗のしかたも参考になると思います。

ここでの「こつ」

※1 【グラニュー糖もしくは上白糖
 砂糖の中でもグラニュー糖もしくは、上白糖がお勧めです。上白糖だとうす茶色のカルメ焼きとなり、グラニュー糖だと真っ白なカルメ焼きができあがります。
なお、カルメ焼きのレシピで使っていることが多いザラメ糖だと、上白糖のように色の変化で温度を推測しにくく、そういった点では上白糖が優れているようです。

※2 重曹を混ぜ
 重曹を使うと、どうしてカルメ焼きは膨らむのでしょう。答えは次の化学式のとおり、二酸化炭素を発生するからなのです。

品目 反応式
重曹(炭酸水素ナトリウム、重炭酸ナトリウム) 2NaHCO3+熱 → Na2CO3 + H2O + CO2
(参考)ベーキングパウダー NaHCO3+HX(複数の助剤)を混ぜ合わせ → NaX(中性塩) + H2O +CO2
助剤としては、酒石酸、クエン酸、第1リン酸カルシウム、ピロリン酸カルシウム、グルコノデルタラクトン、フマル酸など
重曹は加熱により反応しますが、ベーキングパウダーは混ぜ合わせることで反応が始まります。つまり、ベーキングパウダーを使うときには、混ぜ合わせたのち、間をおかずに調理に取りかかる必要があることがわかります。

※3砂糖はカルメ焼きが固まるときに結晶化させるための、結晶核
 カルメ焼きをつくるまでに時間がある場合には、この砂糖が溶けてしまい、結晶核としての役割を果たさなくなるときがあります。このため、カルメ焼きを焼く直前に砂糖は加えるようにします。もし、時間をおいた後に再度重曹卵を使いたい場合には、砂糖を加えておくと良いでしょう。加える砂糖の分量は多くても問題はでませんので、ひとつまみくらいを入れておきます。

※4 【中火にかけます
 
加熱することで糖を重合させるのですが、弱火だと重合に至るまでに水分が蒸発してしまうため、十分に重合できず、また強火だと重合時間が十分に取れず、どっちにしろ失敗作になってしまいます。

※5 【125度〜130度になったら、火からおろし
 
砂糖は加熱中の温度によって下表のように状態が変化します。今回のカルメ焼きでは、項番3.になるまえの約130度です。糖が焦げる温度まで近づくと、上白糖の場合は徐々に茶色に色づきはじめ、下表のようになります。

項番 温度 状態 用途
1. 60〜70度 泡が立ちはじめ、100前後で全体が煮立つ。 105度で煮詰めるとシロップ
2. 110〜120度 細かい泡がでます。 この温度で煮詰めて急冷するとフォンダン(白っぽくなります)
3. 150〜160度 全体が黄金色になります。 急冷するとべっこうあめ
4. 180〜195度 焦げのにおいと、濃い茶色に着色 茶色に着色後、湯を少量加えるとプリンに使うカラメルソース

※6 【失敗のしかた
 カルメ焼きを作るときに失敗しやすいポイントをいくつか上げておきます。失敗しないように、この反対のことができるように心がけましょう。
 1.×:重曹と卵白をしっかりと混ぜていません。
 2.×:125度〜130度まで砂糖の温度が上昇したかどうかは、フィーリングです。
 3.×:重曹卵を入れるタイミングの泡の出方には頓着しません。
 4.×:重曹卵を混ぜてから、思いっきり混ぜてはいません。
 5.×:おたまの底が見えるまでは、重曹卵を混ぜ続けてはいません。

 これらにはそれぞれ理由があります。

1.×:重曹と卵白をしっかりと混ぜていません。
 卵白は砂糖の粘度を高めるために入れています。粘度を高めることで、重曹から発生した二酸化炭素の発散を防いでいるので、しっかりと混ぜ合わせないと、うまく膨らみません。

2.×:125度〜130度まで砂糖の温度が上昇したかどうかは、フィーリングです。
 カルメ焼きは、加熱した砂糖が、さっと固まる性質(フォンダン)と、べっこう飴の粘り気という性質の2つの性質をもっている状態で作るお菓子です。この両方の性質を備えるためには、正確な温度管理ができていないと、うまく膨らみません。
 砂糖水は、140度くらいから茶色に変色しはじめ、150度ではべっこう飴の色に変色しますので、どうしても目で確かめながら作りたいということであれば、『変色』を手がかりにして、すぐに火からおろすようにします。

3.×:重曹卵を入れるタイミングの泡の出方には頓着しません。
 重曹卵を入れるときのタイミングは、砂糖水からでる泡がなくなりかつ、浮いている泡が小さくなりはじめたときです。このころの温度は約100度です。このタイミングで重曹卵を入れると、かき混ぜ終えたときに、砂糖水は粘度が出始める温度になり、重曹から発生する二酸化炭素の発散を防ぎますが、温度が高すぎては、二酸化炭素を細かい泡として抱えきれず、うまく膨らみません。

4.×:重曹卵を混ぜてから、思いっきり混ぜてはいません。
 重曹卵が均一に混ざっていないと、二酸化炭素の出方がいびつになり、うまく膨らみません。

5.×:おたまの底が見えるまでは、重曹を混ぜ続けてはいません。
 重曹卵からでる二酸化炭素の量は、はじめは急激です。この急激にでた二酸化炭素は、量も多いので一瞬は膨らむのですが、局部的に偏って空洞を作る傾向があり、冷えたときにカルメ焼きがしぼんで、陥没する要因になりがちです。このため、急激にでる最初の二酸化炭素は、意図的に逃がしてやり、そのあとにでてくる二酸化炭素を取り込むようにします。

参考文献
 ・砂糖と塩の実験 高梨賢英著 さ・え・ら書房
 ・社団法人日本化学会 http://www.chemistry.or.jp/ さんの
  ふんわりカルメ焼き http://www.chemistry.or.jp/edu/magic-dvd/chemical_03_01.htm
 ・砂糖のひみつ 小竹竹香子 佐々木和子共著 さ・え・ら書房 ISBN4-378-03857-9l


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